2024年4月19日金曜日

130年

・「定家の直筆書は冷泉家当主が800年間代々継承、古今伝授箱は『畏れ多く』130年開かれず」(『読売オンライン』)ださうです。「鎌倉時代を代表する歌人・藤原定家の流れをくむ冷泉家(京都市)の当主の間で、約800年にわたって継承されていた古今和歌集の注釈書『顕注密勘』の原本は、古今和歌集研究の中核をなす貴重な史料だ。筆跡からは、歌学の第一人者である定家の 推敲の跡、歌への思いもたどれる。」とか。原本発見の記事は別にあります。この記事で驚いたのは、「古今伝授箱は『畏れ多く』130年開かれず」といふ部分です。古今伝授は歌学の根幹をなします。定家のだと分かつてゐたとしても、といふより、分かつてゐればなほのこと、開くのははばかられたのでせうか。それほど定家の存在は大きい。まさに巨人です。「今回見つかった定家直筆の顕注密勘は、冷泉家の当主が受け継いできた『古今伝授箱』と呼ばれる木箱に収められていた。平安末期~鎌倉初期の僧・ 顕昭の注釈に付け加える形で構成され、顕昭と考えが同じ場合は『一同』などと簡易な記述だが、異なる場合は余白に書き切れず、色紙を貼って書き足した部分も あった。」さうです。その「古今伝授箱は、数万点の史料が収められている冷泉家の蔵で保管され、代々の当主が一生に一度だけ開いてきた。」さうですから、まさに秘蔵の資料です。他にどんな資料があり、この中に定家の自筆本が何冊あつたのでせうか。興味は尽きません。いづれ複製か影印本が出るでせう。その時を待ちませうか。