2024年4月21日日曜日

爪痕

・「『上げ馬神事』リハーサルは成功したけれど 批判殺到から1年、地域に残した爪 痕」(『中日新聞 CHUNICHI Web』)ださうです。「動物虐待との批判を受けていた三重県桑名市の多度大社の伝統行事『上げ馬神事』のリハーサルが20日あった。坂の傾斜を緩やかにし土壁も撤去され、様変わりした神事として5月4、5日の本番を迎える が、今年の参加を見送る地区が複数あり、複雑な思いを抱えたままの関係者もいる。」とか。例の上げ馬神事、今年から変はるやうです。一言で言へば、壁がなくなるといふことです。あの壁が馬の邪魔をしてゐました。だから除去、撤去する、さうすれば馬は助かる。これだけのことです。しかしこの変更は大きい。「9頭が数回ずつ試走して全て成功し、本番も騎乗する水谷蓮治さん(17)は『安全に上れる坂だと思う』と感触を語った。大社や行政によるあり方検討会に加わった馬術専門家の中村勇さん(60)も『壁を跳ぶのは難易度が相当高くて危険だった。この坂なら馬は無理なく上がることができる』と話した。」といふことで、言はば専門家のお墨付きをえたといふことです。かくして上げ馬神事の予祝としての役割は終はります。全頭が上れるのでは占ひになりません。ここで思ひ出すのは、豊橋市の牟呂の神事相撲です。これは本来三番勝負でしたが、戦後、二番勝負で一勝一敗と決まりました。つまり勝ち負けなし、どちらも豊作です。上げ馬もさうなつていくのでせう。さう考へなければ馬を走らせる意味がありません。いづれにせよ、時代とともに祭も変はります。ただし、いづれは受け入れられるにしても、これが、現時点で、すべての関係者に受け入れられるかどうかは分かりません。難しい問題です。